サッカー見ながら思ったこと

昔戦術ブログとかやってましたが、疲れたので、脱力して書いていきたいです

日本人はMFじゃなくてGK・CB・CFこそ海外に行ってほしい

【GK論】日本代表の正GKは、なぜ西川選手ではなく、川島選手なのか?chanchakorinmanyoji.wordpress.com

  なるほどなとしか言いようが無い内容。要するに、西川くんはフィードがいくらレベル高くたって、他の基礎技術のところが世界水準と比べてガクッと下がってしまう、それに対して川島は確かにフィードは西川くん程じゃないし、プレー全体のムラがあったとしても、全体的に見たときにまだ西川くんよりも世界水準に近いんだな、っていうのが、練習動画を通じて明らかにされているのが上記の記事。自分がほぼフィールドプレイヤーとしての経験しかないから(低学年の時の練習試合とかじゃGKやらされたこともあったけど)、GKとしての「基礎技術」という面を測る物差しがほとんど無かったんだけど、そう言われると納得せざるをえない。

 

 あと、

「確かに今現時点では西川選手も権田選手も川島選手よりレベルは落ちるかもしれないが、2人とも経験をもっと積めば、川島選手以上のプレーができるようになるはず。だから代表でも西川選手と権田選手に出場機会を与えるべきだ」…こういう意見もあるかと思います。

しかし西川選手は現在「28歳」。権田選手は現在「26歳」。決して「経験を積めば」などと言えるほど若い年齢ではありません。

っていうのは、本当にそうなんだよなー。西川くんも権田も別に若くないんだよ。あとここじゃ名前挙がってないけど東口も。 ただ川島がリールセという日本じゃ無名のベルギーのチームに移籍したのが27歳になる年のこと。そこからかなり鍛えられて今のレベルになったわけだし、しかもその日本じゃ頭一つ抜けてる川島の今のレベルっつったって、ベルギーの強豪クラブであるスタンダール・リエージュじゃ失格レベルなんだから、世界水準と日本のGKのレベル差は開くばかり。

 

 ただ、日本においてだいたい同じような状況になってるのは、GKだけじゃなくて、CFとCBも同じだと思う。

 CFについて見てみよう。たとえば、近年ショックだった覚えがあるのが、当時バリバリ日本代表のCFとして君臨していた前田遼一(当時30歳)が、英2部(当時)のウェストハムの入団テストを落ちたという話。2部ですよ2部。そりゃイングランドは、枠の問題とか色々ややこしいのは確かにあるんだけど、これは結構ショックだった。あとアジアカップ2011決勝でビューティフルゴールで優勝を手繰り寄せた李忠成も当時2部だったサウサンプトンでは控えだった。過去の話だけでなく、現状でいえば、ジーニアス柿谷曜一朗はスイスで十分にプレイしておらず、アギーレ以降代表にも呼ばれていない。同じく苦境にあるのが田中順也。結果は残しつつもなかなか先発を勝ち取ることが出来ていない。

 また、試合機会を得ながらも、CFとしてではなくシャドーやウィングとして用いられているのが、ザルツブルグ南野拓実BSCヤングボーイズ久保裕也。実はこの「日本で優秀だったCFが海外でサイドやトップ下にコンバートされてしまう問題」の元祖は、我らが柳沢敦の時代まで遡ることが出来る(もしかしたらもっと古い例があるかもしれないけど)。いろんな意味で汚名の多い彼だが、当時のJのレベルでは、高原直泰と並んで、頭一つどころか、二つ三つ飛び抜けてレベルが高かった。シュートだけは絶望的に下手だったが。ちなみに、余談も余談だが、柳沢敦という選手が後進に与えた影響というのは実は地味に偉大だったというのが、次の記事で明らかになっている。

number.bunshun.jp

「ヤナさん(柳沢)と一緒にプレーできた時間は財産。直接色々と聞くことは少なかったけど、練習などでプレーを見て盗んだ部分はたくさんある。ヤナさんを目標にやってきたし、それを生かしたいと思っている」(興梠)

「仙台に入って1年目に、スタッフから『ヤナさんの動きをよく見ておけ』って言われて、学んだのは確か。特にオフザボールのところで、いつでも相手の嫌なところに入ることを徹底していたし、それを練習からサボらなかった」(武藤)

今期のレッズが強いのは、興梠と武藤雄という2枚のプチ柳沢のためだと僕は考えている。ガンバファンとしては、昨期の天王山で興梠がいなくて本当に助かったし(昨期の時点で既にレッズは「興梠のチーム」だった)、それと引き換え、今期の1stシーズンの実質的な天王山だったであろう浦和ーガンバ戦で僕らが勝てなかったのは、こちらが怪我人だらけなのに対し、上述の2枚のプチ柳沢が元気ピンピンだったからという風に捉えている。 だいーぶ脇道に逸れてしまったが、柳沢敦という選手の汚名を雪ぎたいという思いは僕は常にあるのだ。そして、それぐらい偉大な選手である柳沢敦も、レッジーナ時代はCFとしての出場よりもウィンガーとしてのイメージが強い。そして、そのウィンガーや1.5〜2列目の選手だけ、何故か日本代表は供給過剰である。必然、ダブつきが生じて、システマティックな問題となってくる、というわけだ。

 じゃあここで0トップ(いわゆる「偽の9番」を用いるシステム)を試してみてはどうだろう、ということも考えられた訳だが、残念ながら過去に日本代表においてそれが実践された形跡はない。南アW杯の時の日本代表をかなりディフェンシブな0トップシステムと捉えるような向きも無くは無いが、そこについてはまだ十分な検討がなされてきたとは言いがたい。ただ、あの時の本田を偽の9番として捉えたとして、では他に類例があるかと言うと、やはり思いつかない。ではなぜ日本代表で0トップ・システムが定着しないのか。それは、一つに、日本人は、少なくともフットボールに限定した際のインテリジェンスは高くはないから、戦術への理解と浸透が十分にはかられない恐れがあること。特に代表チームはクラブチームと違って練習できる時間はごく限定されていることも大きいだろう。そしてもう一つの理由が、今まで言ってきたことをすべて引っぺ返す一言なのだが、何だかんだでCFはいつも最低限1枚ぐらいは出てくるのである。ゴン中山柳沢敦高原直泰、そして再コンバートされブレイクしつつある岡崎慎司…。どれも世界に対して、ストロングポイントとまでは言えないにしろ、その平均点ぐらいのプレーはしてくれるCFだ。

 ただ、CFにかろうじて1枚、ウィングと1.5〜2列目に似たタイプの選手が供給過剰に存在しているだけでは世界では勝てない。タイトルでも挙げた、GK・CB・CFという「屋台骨」が一本綺麗に通っていなければ勝ち目はないのである。これらのポジションは、野球でいうセンターライン(=キャッチャー・ピッチャー・二遊間・センター)にあたると考えて欲しい。そこの守備がグダグダなら勝ち切るチームには絶対になれないというのは想像に難くないだろう。特にCB・GKというのは、CFと違ってミスが失点に直結するきわめて重要なポジションだが、残念ながら現在の日本代表はここの人材に極めて困難を抱えている。GKの例は先ほど上げたが、CBに関して言えば、ドイツで出場機会をほぼ得られなかった槙野と、サウサンプトンで控え1番手に甘んじている吉田が先日のイラク戦では先発しているというレベルで、やれミランの10番だ、マンチェスター・ユナイテッドで7番を与えられそうになっただとか、10代でバイエルン・ミュンヘンのトップチームにいたとかいう華々しい話とは格が違うとしか言い様がない。

 というわけで私が提案したいのは、日本にいる有望な25歳以下のGK・CBはどんどんヨーロッパに行きましょうということです。27歳になってからではもう間に合わない。本田みたいに2部からのスタートになったっていいじゃないですか。それに本田や吉田がJで圧倒的な選手だったかというとそういう訳でもなかったんだし。いま期待されてる日本のCBって誰だろう、植田直通とか昌子源とかかな。奇跡的に西野貴治がこのブログ見て決意してくれないかな〜とか、ガンバファン的には思ってたり。